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ふぁざー × こんぷれっくす

第4章 ファーストデート

そんな私の気知らず清水は、とっととケーキを選びだして


「俺モンブラン、お前は」


「…ショートケーキ……」


「ふっ…」


無難なチョイスだが、初めてのケーキ屋はショートケーキと決めているし、ハート形の可愛いケースに入っていて目を引いたから選んだのに、清水に鼻で笑われた。


いちいち煩いわよ!


ムッとしながら店内を見渡すと、狭いスパースながらも他に焼き菓子とか種類がたくさん置いてある。


だけど――――


「ねぇ…イートインするスペースないよね…どうすんの?」


「俺ん家で食べるに決まってんだろ」


清水は店員さんから、箱を受け取りながら臆面もなく言ってのけた。


「え…清水の…家?」


「アパートだけど一人暮らしだから誰もいないし、気を使う必要ないから大丈夫だぜ」


「一人暮らし…」


「あぁ、俺の実家地方だから。ほら行くぞ!」


「えっ…ちょ、ちょっと待ってよ」


清水は片手にケーキの箱、もう片方に私の手を握り直して、店を出て行った。

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