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ラズベリーの恋

第54章 心の崩壊

でも、秀君は追いかける気配もなく、校舎のすみでしゃがんで1人で泣いていたの。誰か来る気配を感じてチラッと見たら、中井君だったの。なんだ、秀君じゃないのかとガッカリしていたら「なんだよー。心配して来たのに、残念そうにすんなよ。」中井君はダンスをしているわりには、きゃしゃですらっと背が高くて秀君みたいに、筋肉があまりない感じ。「クラス全員の前で愛の告白したのに、なんで露木叩いて泣いてるんだ?」「話したくない。そっとしておいて。」私がそう言ったら中井君が後ろから抱きしめて「ほっとけねーんだよ。俺さぁ、元々お前の事好きだったし、カラオケでちょっとした事も、忘れられないんだ。」そして、私の顔をぐいっと掴んでキスしてきたの。すぐに「やめてよ!ゆみちゃんがいるでしょ?」と、振り払ったら中井君、強く抱きしめてまたキスしてくるの。身動き取れなくてもがいていたら、れいちゃんとまきちゃんがやって来て「中井君!智香嫌がってるじゃない!やめなさいよ。ここ、学校の中だよ?先生に見つかったらどうすんのよ?」中井君、バッと離れてどっか行ってくれたよ。「智香、大丈夫?私達、びっくりしたんだけど、どうして露木君を叩いたの?なんかあった?」「ひ、秀君がっ。秀君がっ。うわあん!」「そう言えば、露木君追いかけなかったね。それも謎だわ。」れいちゃんはいつも、するどいから変だと思ってくれたみたい。私は秀君が震えながら、唇を触ってボンヤリして様子がおかしかった事を話したの。「確かに、露木君らしくないわね。イタリア人のキスはただものじゃなかったのかな?でも。」まきちゃんが「でも?」
と、聞いたの。「智香以外の人とキスしたの、露木君は初めてで衝撃的だったんじゃない?露木君、真面目だし智香の事で頭いっぱいなのに、自分に不甲斐ないと思ったのかも。」と、れいちゃんが言って、まきちゃんが「今頃、露木君反省して、しょんぼりしてるかもよ?二人で話したほうがいいんじゃない?さ、教室に戻ろうね。」涙が止まらないまま、教室に戻ったらアメリーちゃんが、秀君と楽しそうに話しているの。時々、英語で話していたりして。私、カバンに教科書詰め込んで「帰る!」と叫んで教室を飛び出したの。でも、秀君は追いかけてはくれなかった。走って学校を飛び出して、校門の影で思い切り泣いたの。秀君、どうして?あんまりだよ!アメリーちゃんに一目惚れしたの?

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