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ラズベリーの恋

第11章 秋祭り

智香が住んでいる町は秋祭りがあります。
御輿が町を練り歩き、神社には屋台が出ます。
智香と露木はお祭りに出かけました。
屋台でたこ焼きやリンゴ飴を食べたりしました。
ヨーヨーすくいや、輪投げもして遊びました。
神社は海辺にあり、ヨーヨーを手に海辺に行くと打ち明け花火が始まりました。「わぁ!秀君、綺麗~!」
ドドーン、パラパラと花火はどんどん上がります。
二人は手を繋いで、暫く花火に見とれました。
智香は露木の肩に頭を寄せて、色とりどりの花火を見ていました。やがて、盛大に花火が上がり終わってしまいました。みんな次々と帰り始めました。
「秀君、来年もまた見に行こうね。」露木はうんと、にっこり笑いました。神社の階段に座り、買っていた綿飴を二人で食べました。「やっだ!秀君、頬っぺたに着いてるよ!」アハハ!と笑って露木が下を向いて話し始めました。「智香、いつか話さなきゃと思っていたんだけど、僕、実は2ヶ月ほどアメリカに留学する事になったんだ。」智香はえ?と耳を疑い黙りました。やがて、智香はポロポロ涙をこぼしにっこり笑って「うん!秀君頑張って来てね。毎日、メール待ってるよ。」露木は智香の涙を拭いて抱きしめました。
「寂しい思いさせるけど、ごめんね。僕、頑張って勉強してくるよ。」うん、うんと、智香は泣きました。
屋台はすっかり片付けに入っていて、忙しそうです。
「秀君、いつからアメリカに行くの?」「11月と12月だよ。もう、パスポートも出来てるんだ。」「クリスマスはアメリカなんだね。」「うん、そうなんだ。二人の初めてのクリスマスにごめんね。」「心配しないで。家族とワイワイやるよ。それより、秀君が1人で寂しいね。」「町のクリスマスイルミネーションでも見に行くよ。で、ケーキでも食べるさ。もう、遅いし帰ろうか。」露木は智香の家まで送って帰りました。智香は布団の中で元気なく、天井を見つめていました。アメリカか。そう呟いて寝返りを打って中々寝付けませんでした。朝、目を覚ますとメールが来ていました。「あ!秀君からだ。」うちに遊びに来ないかって!うん!行く行く!すぐにお返事を返して、智香は朝ごはんを食べました。露木が智香の家に迎えに来ました。「あのさ、今日は誰も居ないんだ。父親と母親は一緒にパーティーに呼ばれて、夜遅くまで帰って来ないんだって。兄貴は昨日から旅行に行ってるんだ。」

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