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ラズベリーの恋

第34章 2年生の2学期

「今年も、智香は走るの?」「うん。だと思うよ。」
「クラスは違うけど、応援するよ。」「うん。ありがとう。じゃあ、また明日ね!」と智香の家の前で別れました。智香は増えた写真を見て、どうしようかな、と考えました。次の日、智香は学校が終わると、買い物に行きました。ミニアルバムを買って、ウキウキしてるど、見覚えのあるカップルと出会いました。「あ、秀君のお兄さんとひとみさん。こんにちは!」「やあ、智ちゃん。買い物?1人?」「うん!」「ちょっと、うちに寄らない?」「じゃあ、ちょっとだけね。」お兄さんの家は初めてです。お洒落なマンションで、1人暮らしには充分な広さです。三人で、コーヒーを飲みながら、ハワイの話しになり賑やかにおしゃべりが弾みました。ひとみさんとは、大学で知り合って付き合うようになったそうです。「じゃあ、帰ります。」智香は出ようとすると、お兄さんが「家まで送るよ。」と言いました。ひとみさんは行ってらっしゃいと、見送ってくれました。「智ちゃん。秀樹とは上手くいってるの?」「うん!もちろんよ。」「そっか、俺は家を出て正解だったよ。」「ひとみさん、とても美人でびっくりしちゃった!」「だろ?ひとみを狙ってるやつはいっぱいいるぞ!」「離さないよう、しっかり捕まえておかないとね。」と、智香が言うとお兄さんは急に黙りました。智香は何かまずい事でも、言ったかな?と心配したとたん、お兄さんはいきなり智香を抱きしめました。智香は驚いてドキドキしていると「智ちゃんを抱きたい。」と、言いました。「ダメよ。お兄さんにはひとみさんがいるでしょ?それに、私は秀君の事、愛してるの。」お兄さんは、抱きしめるのをやめて「愛してるか。ハハッ!俺、まだ引きずってるんだ。情けないね。ごめん、忘れてくれな。」
「私、ここでいいです。ひとみさん、待ってるし。」
「智ちゃん。大人になったね。俺のほうがダメだね。しっかりしないと。でも。」智香の頬を撫でて、とても切ない目で見つめて、キスしました。「お兄さん。」智香はそう言って、後ずさりして、クルッと振り向いて、小走りに急いで帰りました。智香はドキドキが止まりません。家に帰ると部屋に入って、ドサッと寝転がりました。ひとみさんがいるのに、なんでまたお兄さんは、私の事を。智香はハッとしました。買ったアルバムをお兄さんの家に、忘れてしまいました。
カバンの中を見たけどない。

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