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ラズベリーの恋

第40章 初めてのクリスマス

気がついたら、風が冷たいと感じる季節になってたよ。まだまだ、秀君との同棲生活は続いているの。ちょっとショックな話しを聞いたの。秀君のお兄さん精神を病んでしまって、精神病棟に入院しているんだって。老獄中におかしくなってしまったらしく、叫んだり暴れたりして、ベッドに縛られてオムツして、まるで別人のように変わり果ててしまってるらしいの。秀君のお母さんショックで、寝込んでいるそうなの。秀君と相談して、お母さんのお見舞いに、秀君の家を訪ねたよ。とても綺麗なブリザーブドフラワーを買って、食材も持って行きました。「お母さん、具合はどう?心配して智香と一緒に来たんだけど。」「秀樹!お母さん、もう聡志の事でショックな事ばかりで。辛くて苦しいの。お母さん、生きる気力が湧かないわ。うううっ!」母親は泣き出しました。すっかりやつれて痩せて骨が浮き出ています。母親のこんな辛そうな姿を見るのは初めてで、露木は苦しくなりました。智香はキッチンでクリームシチューを作っています。シチューのいい香りがしてきました。「こんなに痩せてしまって、食べてないんだろう?今、智香が食事の支度をしているから、3人で食べようよ。食べたら、きっと元気になるさ。さぁ、行こう。」歩くのもやっとの母親を見守りながら、食卓に行きました。「あ、お久しぶりです。智香です。具合はいかがですか?」と聞いてみたものの、ギョッとするくらい痩せてしまったお母さんを見て、驚きました。智香は心配そうに露木を見ました。「あの、お口に合うかわかりませんが、シチューを作ったので、食べて元気出して下さいね。」
「智香ちゃん。ありがとう。頂くわね。」3人で食事をしながら、母親は聞いてきました。「あなた達は元気でやっているの?」「うん。智香とは毎日仲良く過ごしてるよ。」「お父さんも仕事で毎日、遅いのは知ってるでしょ。お母さんずっと1人で、苦しんで過ごしているの。毎日1人で。」そう言ってポロポロ泣き出しました。居たたまれなくなった智香は「ねぇ、秀君。私はもう大丈夫。すぐ秀君が一緒に勇気付けてくれたから。秀君、今度はお母さんのそばにいてあげて。守ってあげて。」「智香、ありがとう。僕もさっき痩せた母親を見て、ついててやりたいと思っていたんだ。感謝するよ。」「うん。秀君がついていたら、きっとお母さんも元気になるよ。1人じゃ可愛そうだし、寂しいよね。」

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