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真田幸村九度山ライフ~恋の相手は戦国武将~

第7章 敵になっても心得は同じ事である。

 
「秀吉様が亡くなられたら、徳川が台頭するのは明らか。私は名目上、家康様の義理の息子とも言えますから、信繁も悩んだのでしょう。このまま争いが起きたら、私はどうするのかと」

「結局争いは、起きたんですよね。それで、二人は……」

「私が徳川につくと打ち明けた時、あの子は私を酷く罵りました。真田は豊臣に仕える身ですから、本来ならば三成殿につくのが義理ですからね。しかも三成殿は、私達の叔父でもあります」

「えっ、石田三成が、叔父さんなんですか?」

 千恵が意外な繋がりに目を丸くすると、信之は素直に頷く。親戚関係があまりに濃すぎて、部外者である千恵も頭が痛くなりそうな話だった。

「よくその状況で、徳川に味方するって言えましたね」

「それは、真田が生き残るためどこが一番強いかを考えた結果です。しかし信繁から見れば、私の行為は主家への裏切り。父上が仲裁しなければ、斬り合いの沙汰になったかもしれません」

 結果を考えれば、正しかったのは信之である。幸村と昌幸はなまじ活躍してしまったがために九度山へ封じられ、生きながら殺されたような身に堕ちたのだから。
 

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