真田幸村九度山ライフ~恋の相手は戦国武将~
第8章 遊園地を回りながら、こう考えた。
人が多く長蛇の列が出来ているため、アトラクションを楽しむ時間は限られている。だが不慣れな一行にとっては、それくらいが心の準備も出来てちょうどよかった。
「馬より早い乗り物は、初めてでござるな」
「おい、あそこ一回転しているぞ!落ちるに違いない、やっぱり私は帰る――」
「父上、往生際が悪いですよ」
気だるい待ち時間も、三人の様子を見ていると飽きが来ない。今日はあくまで真田の家族のためのレジャー。しかし千恵は、自分自身も高揚を覚えていた。
そして、ジェットコースターに乗った後。三人の反応は、乗る前とは真逆だった。
「なんだか、目が回りそうでござるー……」
「だらしないな、幸村。ジェットコースター、なかなか楽しいものではないか。私はもう一度乗る事を提案するぞ」
「い、いえ父上、これは怖……いえ、様々な種類の遊具があるのです、もっと楽しいものが見つかるとも知れず、他のところを回りましょう」
絶叫マシンでは兄弟が青ざめ昌幸がはしゃぎ、お化け屋敷では全員が幽霊を倒そうとするのを千恵が止め、メリーゴーランドでは同じ木馬を奪い合い、時間はあっという間に過ぎ去った。