真田幸村九度山ライフ~恋の相手は戦国武将~
第2章 千恵は激怒した。
「す、すまない! 拙者はその、覗きではなく話が!」
「わ、分かったから出てって、今すぐ早くっ!」
千恵は突然の事に力が入らなくなり、その場にへたり込んでしまう。幸村も一度戻ればいいものを、混乱する頭は帰るという選択肢を忘れてしまった。
「話があるのでござる! あっと、その、とにかくこれを羽織って――」
幸村が羽織を脱いで渡そうと近付けば、千恵はますます混乱し冷静を失ってしまう。
「きゃああーっ!」
「わあぁっ!」
千恵は近付く幸村に、思わず近くに置いてあったクッションを投げつける。顔に命中しバランスを失った幸村は、そのまま前のめりに転んでしまった。
「痛ぁ……」
「ん……ん?」
転んだ幸村は千恵を巻き込み、押し潰していた。気が付けば、幸村は千恵を組み敷くような体勢。衝撃でしばらく星を飛ばしていた二人が正気に戻れば、近すぎる距離に熱が上がった。
「ゆ、幸村」
頬を染める千恵のキャミソールはめくれあがり、細いくびれまでもが露わになっている。女性の象徴である胸部は幾分、否、大分ささやかであるが、曲線の美しい腰やすらりと伸びた脚は男を刺激する。