真田幸村九度山ライフ~恋の相手は戦国武将~
第9章 嵐が来る。
考えているうちにも、瞼は重くなり千恵の思考は鈍っていく。国親が何かを話していたが、やがてそれも認識出来なくなっていた。
(……おかしい、こんな、眠くなるなんて……)
体に異変が起きている。危機感は高まるのに、意識は沈んでいく。そして千恵は、国親に身を預けたまま眠りについてしまった。
「千恵、千恵?」
国親は二、三度千恵を揺さぶり声を掛けると、辺りを見回す。そしてやや後方に止まっていた空車のタクシーを見つけると、眠る千恵をおぶって声を掛けた。
国親は行き先を告げ、千恵と共にタクシーへ乗り込む。タクシーは静かに、千恵のマンションとは逆方向へ、発進していった。
手首に走る痛みで、千恵は淀む暗闇から現に帰る。まず目に入ったのは、品のないピンクの光。そして聞こえてきたのは、カメラのシャッター音だった。
「――っ!」
千恵は一糸纏わぬ姿で、両手は頭の上に、足は大股を開かされて縛られていた。そしてカメラのレンズを向けるのは、話が付いたはずの国親だった。
「な……何してるのよっ! これはどういう事!?」