真田幸村九度山ライフ~恋の相手は戦国武将~
第9章 嵐が来る。
部屋の内装を見る限り、ここはラブホテル。こんな所に連れ込み裸で縛り上げるなど、間違いなく悪意のある行為である。
「千恵が強情だから悪いんだ。俺が金目当てだなんて、誰に入れ知恵されたの? やっぱり、あの変な喋り方の男?」
「待ってよ、分かったって……悪かったって言ったじゃない!」
「そりゃ、そう言わないとずっと揉めるだけだからね」
「騙したの!? まさか、帰り際異様に眠くなったのも……」
「大丈夫、ちゃんとした睡眠薬を、正しい容量の半分しか入れてないから。だからすぐ起きたでしょ?」
国親はさも自分が正しいような言い方をするが、人に睡眠薬を仕込む時点で充分に犯罪である。しかし逃げるにも、縛られた状態では逃げようがなかった。
「離して!」
「いいよ? 千恵が俺の所に帰ってくるって誓うなら、いつでも縄なんか外してあげる」
「だから、あんたに渡す金はないって言ったでしょ! いい加減にしないと、警察呼ぶわよ!」
だが国親は悪びれる様子もなく、カメラを置いて千恵に覆い被さる。代わりに手にしていたのは、ピンクローターだった。