真田幸村九度山ライフ~恋の相手は戦国武将~
第9章 嵐が来る。
「警察、本当に呼べる? 千恵、この前俺に襲われた後も行かなかったよね。呼ばれて困るのは、千恵の方なんじゃないの?」
「っ!」
「それに、俺さっきまで千恵の恥ずかしい写真いっぱい撮っちゃったから、警察行ったらそれも知らない刑事に見せる事になるよ? 逮捕なんて言われたら、俺動揺してうっかりネットにアップしちゃうかも」
「あんた……最っ低!」
千恵は縛られた手を強く握り、屈辱に震える。国親は千恵の眉間をつつくと、にっこりと笑んでみせた。
「本当は今の千恵の男にも送りつけてやろうと思ったんだけど、番号も何も登録されてないから諦めたんだ。彼氏のナンバー知らないとか、珍しいね」
その言い振りからすると、千恵の荷物も全て調べたのだろう。千恵は悔しさのあまり、叫ばずにはいられなかった。
「なんで……なんでそんな酷い事するのよ! 国親、前はそんな人間じゃなかったじゃない!」
「……そんな風に言うの、千恵だけだよ。千恵さ、俺が金に困ってるの、借金の保証人になったとか、詐欺にあったとか、そんな理由だと思ってるでしょ?」
「え……? 違うの? だって国親は真面目に仕事してたし、困るとしたらそんな理由しかないんじゃ」