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真田幸村九度山ライフ~恋の相手は戦国武将~

第9章 嵐が来る。

 
「それについては、こやつから聞いた方が早いだろう。おい、もう入ってもいいぞ」

 昌幸が声を掛けると、さらに部屋へ二人の男が入ってくる。一人は、千恵は知らないが、千恵と国親をこのホテルまで送ったタクシーのドライバーである。そして、もう一人。その顔に、千恵は嫌な思い出を脳裏に浮かべた。

「あ、あなた、は……」

 一見するとボーイッシュな女性とも間違えそうな姿をした、小柄で中性的な顔をした青年。前に美穂が不審者と疑っていたのもこの男だと、千恵は確信した。

「千恵、顔が引きつっているが、知り合いではないのか? この者が、私達に千恵の危機を知らせてくれたのだ」

「なんで……どうして? あたし、あの」

 千恵が混乱していると、幸村に殴られて顔を腫らした国親が立ち上がる。そしてその小柄な男に迫ると、胸ぐらを掴み牙を向いた。

「また……お前が邪魔するのか、恭介!!」

 国親のただならぬ様子に、昌幸と幸村も訝しむ。全てを知るのは恭介と呼ばれた、小柄な男一人。彼は負けじと綺麗な顔で国親を睨みつけると、男にしてはやや高めの声で語った。
 

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