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真田幸村九度山ライフ~恋の相手は戦国武将~

第9章 嵐が来る。

 
「邪魔もなにも、これが僕のした事の責任だから。彼女には、もう指一本触れさせないよ」

 国親は唇を噛み、恭介に拳を振るおうとする。が、タクシードライバーの男がそれを止めると、国親を組み敷いた。すると昌幸は、解いた縄をドライバーに差し出す。

「これ使うか?」

「お心遣い、感謝します」

 ドライバーは国親をぐるぐる巻きに縛ると、床に押し付けその上に座った。

「……それで、お前達は何者だ? 私達もあまり事情も聞かずに着いてきてしまったが、並々ならぬ因縁がありそうだな」

 昌幸が改めて訊ねると、恭介は千恵に頭を下げる。そして、名前から名乗った。

「千恵さんも、僕の名前は知らないですよね。僕は結城恭介、国親が千恵さんと二股をかけた……浮気相手です」

 その名乗りに、真田親子は言葉を失う。千恵が女としての矜持を無くし、長い間引きずった原因の男。千恵が管を巻いて潰れる姿を見ているだけに、気まずい事この上なかった。

「それは……千恵も混乱するはずだな。しかし、なぜその浮気相手が、千恵の危機を知っている?」
 

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