真田幸村九度山ライフ~恋の相手は戦国武将~
第10章 「両腕を一生お貸ししてもいいわ。」と娘は言った。
場をわきまえ、幸村はそれ以上求めてくる事はない。だがかえって焦らされているようで、千恵の体は火照っていた。当然千恵を抱きしめる幸村もそれを知っているはずだが、悪戯の手は止まらなかった。
「観覧車、早く動くといいですね」
「ここまでやったんだから、最後まで責任取ってよ……生殺しのまま帰るとか言ったら、怒るからね」
千恵は幸村に念を入れると、腹の底にじりじり溜まる欲を発散させるため、幸村に向かい合い口付ける。言葉よりも深く語る愛情は、幸村の下半身にも影響を与えていた。
千恵は散々焦らされた観覧車から降りると、幸村を連れて遊園地を出る。今千恵を突き動かす欲求を叶える場所は、一つしかなかった。
一人暮らしでは置く必要のない、大きなベッド。ガラス張りになって丸見えの浴室が、この場所の性質を物語っていた。
「なるほど、ここは男女の睦言のために作られた宿なのですね」
幸村は感心して部屋を見回すが、千恵は今さらになって羞恥を思い出していた。千恵も人間である故性への欲求はあるが、自分から主導してホテルへ連れ込んだのは初めてだったのだ。