真田幸村九度山ライフ~恋の相手は戦国武将~
第10章 「両腕を一生お貸ししてもいいわ。」と娘は言った。
「や、やっぱり帰ろうか? 昌幸さんも待ってるだろうし、心配掛けちゃうもんね」
慌てて千恵は欲をなかった事にしようと取り繕うが、幸村は千恵の手を取るとベッドに沈める。繋ぎ止めるようにキスをして、及び腰の千恵に再び熱を与えた。
「責任を取れと言ったのは千恵殿でござる。武士は一度交わした約束を忘れませんから、本日はお覚悟を」
覆い被さる幸村は、千恵がまだ知らない色を備えている。女を刺激する手つきは、千恵が思う以上に手練れであった。
「幸村も、こういう事するんだね。なんか、意外。あんまり、色気のあるイメージじゃなかったし」
「拙者だって健康な男ですから、愛しい女性は抱きたいと思いますよ。むしろ人より、欲求は過多かもしれません」
「あ……あんまり変なプレイは、急にやらないでね。幸村だったら付いていきたいけど、SMとか、そういう特殊思考はよく分からないから」
「えすえむ、とはなんですか?」
幸村が千恵の部屋から取り入れる知識に、性の特殊思考の話はない。幸村は首を傾げるが、そんな話を細かく説明する勇気はなかった。