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真田幸村九度山ライフ~恋の相手は戦国武将~

第2章 千恵は激怒した。

 
 千恵はその言葉に甘え、部屋の扉を開く。そして中で読書していた昌幸も加え、ささやかな食事を取った。

 そして食後、缶酎ハイを飲みながら、千恵はぽつりと語り始めた。

「入り口で幸村が会った人、あたしがこっぴどく振られた相手なんだ」

「そ、そうなのでござるか」

「一緒に暮らしてて、結婚の約束もしてたのに……三ヶ月前、家に連れ込んだ浮気相手と、鉢合わせしたの」

 幸村は決まりが悪そうに縮こまるが、こういう時は昌幸が強い。大げさに頷き、すかさず千恵の隣に座って頭を撫でた。

「自宅に浮気相手を連れ込むなど、男の風上にもおけないな。一夫多妻制の戦国の世とて、もう少し気は遣うものだぞ」

「その相手も、二股掛けられたって事は知らなかったみたい。泣いて出て行ったんだけど、あの人……国親は、浮気相手を追っていったの。あたしは、あいつ以下だって言って」

「どんな女かは知らないが、千恵以上の女などいるまいに。見る目のない奴よ」

「……女だったら、まだ良かったの」

「ん?」

 奇妙な返事に、昌幸も首を傾げる。すると千恵は缶酎ハイを一気飲みして空にすると、その缶を握り潰した。
 

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