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真田幸村九度山ライフ~恋の相手は戦国武将~

第2章 千恵は激怒した。

 
「仲良く抱き合っているところに鉢合わせしたのは……男だったの」

「!!」

 浮気相手が、男。衝撃の告白に、幸村も昌幸も慰めの言葉が見つからなかった。千恵は涙ぐみ缶をますますぺちゃんこにして、さらにまくし立てた。

「あたし、男以下だって言われて捨てられたの! 信じられない、彼氏が男と抱き合ってる現場だけで、トラウマだってのに!」

「ち、千恵……酔っているな? あまり悪酔いは良くないぞ」

「こんな時に飲まなきゃやってられないわよ! そんなトラウマ植え付けて捨てたくせに、今更しゃあしゃあと復縁とか馬鹿じゃないの!?」

「復縁……? その、男を選んだ男が、また千恵に言い寄ってきたのか?」

「ねぇ、信じられる? それで頷く女が、どこの世界にいるのよ! 腹立つ、はり倒してやりたい!」

 千恵は昌幸の缶を奪うと、それも一気飲みしてしまう。これは質が悪いと昌幸はそっと離れようとするが、目の据わった千恵に肩を掴まれ阻止されてしまった。

 その後千恵が酔い潰れるまで、二人は千恵の愚痴に付き合わされる羽目となる。しかし聞いてあげるのが精一杯で、的確な慰めの言葉は見つからなかった。
 

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