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真田幸村九度山ライフ~恋の相手は戦国武将~

第3章 あなたにこの生活を教えよう。

 
 腰を抱いていた昌幸の腕が、胸元の方に伸びる。

「だっ……駄目です、そんなっ」

 千恵は身を縮め目をつぶるが、構えていても昌幸が千恵に触れる気配はない。そしてすぐに昌幸が笑いを零す声が聞こえて、千恵は眉間に皺を寄せながら目を開いた。

 昌幸の腕が伸びたのは、千恵の胸元――の向こう側にある、パソコンの画面。遊園地のリニューアルオープンを知らせるニュースを指差した昌幸は、けらけら笑いながら千恵の肩を叩いた。

「千恵、やけに顔が赤いがどうした? 何かいやらしい想像でもしたんじゃないだろうな」

「――もう、何でもない! ホント、意地悪いんだから……」

「お、ようやくくだけてきたな。千恵はお行儀良くしているよりも、明るく話している時の方が可愛らしいぞ」

 何気なく放つ褒め言葉は、心臓がまだ色気に高鳴っていたせいか、千恵の心に容易く忍び込む。いやらしい想像の余地などないはずの言葉なのに、心臓の激しさは収まらなかった。

「それで、このパソコンがどうかしたんですか? これはゲームと違って複雑ですから、触っちゃ駄目ですよ」
 

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