真田幸村九度山ライフ~恋の相手は戦国武将~
第3章 あなたにこの生活を教えよう。
外へ出る、とはいえ、いきなり昌幸が指差したような遊園地へ向かえば混乱するのは必至。昌幸が幸村を連れてくるまで、千恵は計画を練っていた。
そして程なくして現れた幸村は、千恵に深々と頭を下げる。予想以上の礼儀正しさに、千恵は慌てて顔を上げさせた。
「千恵殿、父上が厚かましい願いを申し訳ござらん。恐縮するばかりです」
「い、いいって! あたしだって暇だったし、むしろ付き合ってもらったら助かるよ」
「しかし……いや、拙者も平成の世が知りたいと思うのです。千恵殿の厚意に返すものがないのは申し訳ない限りでござるが……よろしいだろうか」
「もちろん! あたしがやりたくてやってるんだから、そんな決まり悪そうな顔しないの」
幸村の負担にならないよう、千恵はなるべく明るく話す。反して幸村は、顔を上げてもまだ遠慮が見えていた。
「とりあえず今日は、散歩がてらにその辺を歩いてみよう。慣れてきたら、色々回って……最終的には、遊園地って事で」
「遊園地……とは、巨大な車輪が回ったり、馬より早い乗り物のある娯楽施設ですな! 拙者、実物がどのようなものか気になっていたのでごさる」