真田幸村九度山ライフ~恋の相手は戦国武将~
第3章 あなたにこの生活を教えよう。
「確かに……不思議なものですな。我々の時代が礎になったとは思えないこの未知なる世界、本来なら誰も知るはずがないのですから」
上手く話が逸れた事に安堵していると、昌幸は片目でまばたきし合図を送る。
(あれ、昌幸さんもしかして、分かっててごまかしてくれたの……?)
「さ、このまま立ち止まっていても仕方あるまい。千恵の心のまま、私達を導いてくれ」
昌幸はそれ以上特に千恵へコンタクトを送る事なく、すぐに話を変えてしまう。ありがとうを言わせる隙もないスマートさに、千恵はただ感心してしまった。
「うん……じゃあ、行こっか」
歩いていくその道は、慣れた日常である。コンクリートの住宅地、ショーケースの窓ガラス、行き交う車。だがその一つ一つに、二人は驚きの表情を見せる。
「千恵殿、あの建物に埋め込まれた巨大な画面! あのように大きな物もあるのでござるか?」
「なるほど、電光掲示板とは便利だな。あれなら一枚で無数の商品を紹介できる上、宣伝効果は抜群だ」
「二人とも、驚くのはいいけど信号はちゃんと見てね!? 赤は止まれ、だからね!」