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真田幸村九度山ライフ~恋の相手は戦国武将~

第3章 あなたにこの生活を教えよう。

 
「休むところなどありますか? 千恵殿」

「すぐ近くに公園があるから、そこで休憩しよっか。昌幸さん、もう少し大丈夫ですか?」

「千恵まで私を年寄り扱いするか。仕方ない、では今夜布団の中で、私がどれだけ体力があるかを実践しよう」

「どうして父上は、いちいち趣味の悪い冗談を言わねば満足しないのですか! 千恵殿、失礼な父上で本当に申し訳ない……」

「ううん、謝らなくていいよ。だって昌幸さんが、本当にそんな事する訳ないもん」

 千恵の無邪気な顔に、幸村は目を丸くする。千恵はさして気に留めず公園の方へ歩き出すが、幸村はその背中を暗い表情で見つめた。

(父上は、いつの間にそこまで千恵殿の信頼を得たのだろうか。早く話をしないと……)

 国親の訪問があった日以来、結局幸村は千恵と二人で話す機会を見つけられずにいる。気持ちは焦るが、妙案は浮かばなかった。

 公園の入り口近くまで来て、悩む幸村に一台の赤い車が目に入る。移動販売車、という特殊な車両である事も目を引いたのだが、なにより人目を引いたのは客だった。

「あれは……」
 

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