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真田幸村九度山ライフ~恋の相手は戦国武将~

第3章 あなたにこの生活を教えよう。

 
「先程までは老人扱いするなと言っていたくせに……父上だけ先に公園に行って、待っていればよかろう。なあ千恵殿」

「それはそれで心配なんだけど……」

 昌幸は昌幸で、いまいち行動が読みにくい。実直な幸村ならともかく、千恵は昌幸と一度はぐれたら見つけられる自信がなかった。

「大丈夫だよ梅宮さん、そんなに過保護にならなくても、幸村はきちんと届けるから。梅宮さんはお父さんと一緒に、公園で待ってて。すぐそこのあそこでしょ?」

 真紀の朗らかな態度は、初対面の千恵にも頼りがいがある印象を与える。相手は女性、幸村を悪くは扱わないだろうと、千恵は仕方なく頷いた。

「じゃあ幸村、あたし達は公園で待ってるよ。ちゃんと広瀬さんの話を聞いて、迷惑を掛けないようにね」

 母親のように幸村へ言い聞かせると、千恵は昌幸を連れ公園へ向かう事にする。心配で何度か振り返るが、ひとまず幸村は馴染んでいるようだった。

 日曜の昼、公園には家族連れや散歩中の人で賑やかだった。幸村がすぐ自分達を見つけられるよう入り口近くのベンチに腰掛けると、千恵は昌幸に持参した水筒のお茶を差し出した。
 

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