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真田幸村九度山ライフ~恋の相手は戦国武将~

第4章 幸村は町の移動販売車でタコスを焼く係りでした。

 
「最初はあの日だけ特別に手伝ってもらったって話してたんだけど、それでも諦めない子もいてね……休日だけでも、なんとか幸村に手伝ってもらえないかなと思ったのよ。梅宮さんなら幸村と連絡取れるでしょ? お願い、交渉だけでも出来ないかな」

「でも、幸村はかなり世間知らずというか、疎いというか……迷惑を掛けるんじゃ」

「確かに計算は苦手みたいだけど、迷惑どころかホント戦力になりそうなの! 料理の経験はあるみたいだし……今あたしの店、チャンス掴めるかどうかの瀬戸際なのよ」

 真紀はずっと頭を下げたままで、そこに裏や悪意があるようには見えない。真紀の言う通り、幸村の存在がチャンスになったのだろう。女一人で珍しいメキシコ料理の屋台、苦労と情熱は、千恵だって聞かずとも分かる。不安があっても、むげには断れなかった。

「これ、あたしの連絡先。幸村にも教えてあげて。仕事中以外ならいつでも出るし、直接店に来てもいいから。いい返事、待ってるよ」

 真紀は千恵にメモ用紙を握らせ、走り去る。目先の美穂に明日の真紀。どう対処するべきか悩みながら、千恵は帰路に戻った。
 

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