ラブロマンスはあなたと☆
第6章 心の中の君
恭也side
「待ちやがれコノヤローっ!」
俺は繁華街の人ごみをかき分け、全力疾走でヤツを追いかける。
相棒のヒロキが先回りし、なんとしてでも今日は捕まえるつもりだった。
袋小路に追い詰められた男は、ハアハアと荒い息を吐きながら、とうとう降参した。
「麻薬取締法違反の容疑で、おまえを逮捕するっ」
「っ」
ガシャッ!
その両手首に手錠をかけると、ヒロキがにやっとして言う。
「やったな恭也!」
「お疲れ、相棒」
ーーーー
そうだ。
俺は大学卒業後、2年間の警察学校を経て
刑事となっていた。
昼夜問わず事件を追いかける日々は、自分の時間などないも等しかった。
じゃないと、刑事なんて仕事は務まらない。
しかし俺は思った。
この職業を選んでつくづく正解だったと。
なぜなら
心の中に住む、たった一人の面影を
いつも考えずにすむからだ……。