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「無礼な口を聞くのも大概にしろ！　これは頭から爪先まで清廉潔白、お前と違い、邪の陰りなど欠片もない！」

「ぐっ……！」

「醜い嫉妬を勝手に積もらせるだけなら、私の知るところではない。しかしお前は、信繁を逆恨みするあまり徳川と通じ、真田に対し謀反を謀ったな」

　それは、信じられない話でした。山田家は、武田、そして真田に仕えた同志。繋がりの深い家が、簡単に謀反を起こすとは思えなかったのです。

「そんな……何かの間違いではありませんか？　謀反なんて、恐ろしい事……」

「残念だがお葉、これは真実だ。こやつの近辺で怪しい動きがあると報告を受け、忍びを使い探らせていたのだ。そして今回の事件が起き、それは確証に変わった。試しにお葉を信繁の元へ放り込んでみれば、後先考えずにこの様よ」

　昌幸様は信明様を蹴飛ばして仰向けに転ばせると、上座に戻りました。

「こやつはお葉に邪な想いを募らせ、信繁を恨んだ。そして自分の嫁が徳川と繋がりがあるのを利用して、お葉を攫い我がものとする事を見返りに、内通を図った。それが事件のあらましだ」