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たゆたう草舟

第5章 月草の 消ぬべくも我は 迎え往く

 
「ま、待ってください!」

 そのまま身を離されそうになり、私は慌てて昌幸様を引き止めます。そして恥ずかしさを飲み込み、昌幸様の月に手を添わせました。

「私は……遠くから見るだけの月より、昌幸様に、喜んでほしい……です」

 すると握る手から感じる、昌幸様の意思。期待に膨らむのは、私も同様でした。

 昌幸様に全身を愛されながら、私も昌幸様を愛おしむ幸せ。巧みな昌幸様の手にいくらか翻弄されましたが、私もまた彼を喜ばせているのだと思うと、より頭が快楽に閉じ込められるようでした。

「擦るだけでなく、舐めてもいいぞ」

 昌幸様が促すと、私は迷わず膝立ちになってそれをくわえました。傷つけないようそっと舌を添わせれば、苦い味が口の中に広がります。それすら美味に感じてしまうのは、女の性でしょうか。相手が昌幸様だからでしょうか。

「お葉……もういい。これ以上すると、持たない」

 しばらくすると昌幸様は私の頭を撫で、腰を引こうとします。が、私は逃げ腰に腕を絡めると、離れがたいそれを喉の奥まで飲み込みました。

「ま、待て。どうせ出すなら、お前の中が……」
 

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