
スキをちょうだい。
第3章 言葉では伝わらないから
梨恵とは付き合って二年経つ。
学校のマドンナとか呼ばれてるから、顔も性格も完璧なのは当たり前だけど、常識も出来ているし、頭までいいときてるから、本当に、彼女は、俺みたいなヤツにはもったいない女の子だ。
って、周りに言うと、いいなあとか、ずるいとか、俺をうらやましがるコメントをもらう。
だから、本当のことは言わない。
そういう奴らからにしたら、これは意味の分からないワガママに聞こえるだろうから。
完璧すぎて、ちょっとついていけない、なんて。
俺は梨恵がとっても好きだし、別れるつもりはないけれど、自分よりも出来のいい彼女をみていると、いろいろ、溜まるものがある。
だから、俺は航太を手放せないでいる。
あいつには、梨恵にはない愛らしさがある。
意味のないウソをついてみたり、俺のことが好きすぎて、梨恵に妬いてみたり。
俺に『スキ』って言ってほしいのに、負い目を感じて我慢していたり。
かわいくてたまらないから、ついイジめちゃうけど、きっと、あいつは辛いんだろうな…‥。
分かってる。痛いくらいに分かってる。
だから、せめて、愛してやるんだ。
体中にキスマークをつけて、たくさん触って、よがらせて。
まあ、だいたいは自己満足だけど、半分以上は混じっている俺の『愛』は、あいつに伝わっているんだろうか。
