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スキをちょうだい。

第4章 不穏ナくうき


 昼休み終了のチャイムが鳴り、かなでは再び窓から帰って行った。

 田中が重いため息を吐く。

「おつかれ」

 航太が労うと、彼は申し訳なさそうに言った。

「ごめんな、もうあいつ二度と呼ばねーから」

 航太は否定も肯定もせず、笑って返した。

 ふと、環が教室に帰ってきた。

 その顔色は深刻そのものである。

 梨恵とケンカをした時も、こんなに険しい表情をしたことはない。

ーなんかあったのか…‥?

 胸の辺りがざわつく。

 気がつけば、窓の外では雨が降っていた。

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