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スキをちょうだい。

第1章 ひみつ


「で、今日はどうした? 梨恵ちゃんと仲良さそうだったけど」

「分かってるくせに」

 くすくす、と、環は笑う。

ーあぁ、やっぱりな。

 今朝、一瞬だけ目があった時にした危惧が当たってしまったことを悟りつつ、相手に振り向いた。

「何それ。意味分かんね」

 知らないふりを続けながら移動しようとする航太の行く手をーー環の腕が塞いだ。

「航太くん、やきもち妬いてるでしょ?」

 思いがけない環の行動に動揺して、目を泳がせてしまう航太。

 その態度は、明らかに『肯定』だった。

 環は妖艶な笑みを浮かべて、航太に顔を近づける。

 鼻と鼻が触れ合い、お互いの息遣いを感じあえるほどの距離感だ。

「なんで知らないふりしたの?」

 航太は目線を落とした。

 欲望が頭の中に溢れて、理性が今にも爆発しそうだった。

 黙りこむ航太に、環は、顔ではなく体同士の距離を縮めた。

 相手の股に、自分の足をいれて密着させる。

「俺にかまってほしかったの?」

 環の太ももを内股に感じ、その周辺が、いよいよ熱を発しはじめた。

「やっ、やめろよ」

 爆発寸前の理性で抵抗の意志を示す航太。

 しかし、環はやめようとしない。

 逆に、密着させた太ももを動かして、相手の耳元に唇を寄せる。

「そんなこと、思ってないくせに」

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