
スキをちょうだい。
第6章 ボクダケガ
「お薬が、はやくまわっちゃうよ?」
ぐるりと世界が回り、航太はその場に膝をついた。
目眩と吐き気に襲われて、荒い呼吸を繰り返す。
何が起こっているのか、理解が追いついていない彼に、かなでは蛇のように近づく。
「どう? ボク特製の媚薬の味は」
「びやく…‥?」
「身体が熱くなって、敏感になっちゃうお薬だよ、航太くん」
言いながら、かなでは航太の首筋を撫でた。
ぞわぞわと駆け巡る、得体の知れない感覚に、航太は声にならない悲鳴をあげた。
そんな彼の肩を、かなでは軽く押した。
すると、力の入らない体は、簡単に仰向けに寝かされた。
かなでは、航太に馬乗りになると、唇を相手の耳に近づけた。
「ねぇ、航太くん。人は、痛みと快楽に弱いんだって。だから、この二つを感じさせるセックスは、上書き効果があるんだってさ」
かかる吐息に震えながら、航太は、うわがき、と、口ずさんだ。
