テキストサイズ

ノンフィクション

第1章  序章



社長から聞いた話を胸に抱きながら、目に見えない敵に立ち向かうべく俺達は日々鍛錬した。そう、レベルアップだ。どうやらここはRPGの世界らしい。俺達がこの世界に来て早1ヶ月が経とうとしていた。未だに俺達は始まりの街の周辺にいる。佐伯の情報を探しながらも俺達二人はレベルアップのためモンスターを狩っていたが、先の見えない情報収集に俺達は途方に暮れていた。

遠矢「はぁ……ホントに見付かるのかな?」

桐谷「諦めちゃだめよ!必ず何かしら手がかりがあるはずよ!」

遠矢「だけどもう1ヶ月も探し回ってるのに何も手がかり無しなんだぜ!?考えてもみろよ、こんな広大な世界でたった一人の人を見付けなきゃならないんだぜ?そもそも可能なのかどうか……」

桐谷「それでも……それでも私達はやるしかないのよ!それしか道は無い。」

遠矢「ったくよぉ……お前の親父さんもとんでもないもん造っちまったなぁ」

桐谷「……」

遠矢「あっ…すまない」

桐谷「大丈夫よ、気にしないで。」

遠矢「ありがとう。」

そうだよな、俺達がやるしかないんだよな。確かに先の見えない事だけど、諦めるわけにはいかねぇよな。

遠矢「さぁて、そろそろ日も落ちてくる、宿に戻ろう。桐谷」

桐谷「うん」

今の俺のレベルが30、桐谷が29、二人ともこの世界に随分慣れてきた。
とにかくこのゲームはすごい。
武器や防具は武器屋で全て想像することによって生まれる。だがレベルに見合った物しか生み出せない。どんなに凄い剣を想像してもそれがそのまま生まれるわけではない。その剣がその人のレベルに合っていなければ退化してしまうのだ。これは武器や防具だけではない。アクセサリーからアイテムに至るまで全てにおいてこれが適応される。
こんなゲーム最高に決まってる。

翌日、俺達はまたレベルアップのため街を離れ狩りに行こうとしたが、宿屋を出た瞬間ちょっとした事件に絡まれた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ