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ノンフィクション

第1章  序章



桐谷曰く、父が開発したそのゲームは「ノンフィクション」といったゲームらしいが、どうにも内容が今一掴めないみたいだ。
ネトゲのほぼ全てを知り尽くしているこの俺でさえ、そんな非現実的なゲームが開発されたなど、信じられない話だった。

桐谷が父に今度週末に開かれる展示会で1度体験させてくれないか?と頼んでみたところあっさりOKしたらしい。
俺もそれに同行することになった。

そして週末…
俺は少しばかり不安を感じながらも、沸き上がる感情がこらえきれず、有頂天の極みであった。

遠矢「ワクワクするなぁ!桐谷!後でお前の親父さんにはお礼言っとかないとなぁ」

桐谷「うん・・・」

桐谷は何故か浮かない表情をしていた。

遠矢「おい?どうしたんだよ桐谷?」

桐谷「何でもないの・・・ちょっと寝不足で・・・」

俺はこの時、何があったのかしつこく問いただすべきだった、だがこの時の俺は目の前の事しか見えていなかったため何も言わないでいた。

そして桐谷の親父が主催する展示会の会場へと俺達は足を踏み入れた。
さすがは大手企業の社長なだけはある。
会場は古っぽい洋風の屋敷のような場所で、入り口には「桐谷礼治社長主催!最新ゲーム『ノンフィクション』展示会会場!」と、書かれていた。
会場には大勢の人が居てざっと見たところ500~600人は居るっぽかった。
こんなに大勢の人が全員ゲームをするのかと、桐谷に聞いて見たところ、大半は社長の友人や契約会社のお偉いさんやそのご家族らしいがゲームに参加出来るのはほんの50名だけだと言う。

俺達はゲーム参加資格の証であるネックレスを着けていたので、ゲーム会場にはあっさり入れた。
確か、午後6時からゲーム参加・・・だったよな?
時計を見ると時刻は午後5時45分。
ちょうど15分前である。
会場を見渡すとそれらしいゲーム機等は存在しない。何やら舞台があり、そこにマイクが1本、ぽつんと置かれているだけである。
50名って結構多いなぁ
そう思いながら桐谷と歩いていると、なんと桐谷の親父さんに会った!

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