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ノンフィクション

第1章  序章



やむを得ない事情って一体何だろう?
ふと、俺の頭にその疑問がよぎった。
展示会に来れなくなるくらいだから相当の事なのだろう。
はっきりとしたことはわからないけど、俺はこの時何か嫌な予感がした。桐谷も顔色悪いし、まぁいつもの事なんだが今日の桐谷は少し違って見えた。

遠矢「おい桐谷、大丈夫か?さっきから顔色悪いぞ?」

桐谷「・・・」

遠矢「桐谷!聞いてんのか?」

桐谷「えっ!?な、なに?」

遠矢「ったく、今日のお前なんかおかしいぞ。何か嫌な事でもあったのか?」

桐谷「そんなことないよ。ありがとう」

遠矢「ま、それならいいんだけどさ。」

俺は何故か納得出来ないでいた。
そう言った桐谷の横顔は少し悲しげな表情をしていたからだ。
社長の演説が続く

桐谷社長「それでは皆様お待ちかねの最新ゲーム、ノンフィクションのご紹介を致しましょう!皆様舞台中央をご覧下さい。」

するとスクリーンも無いのに巨大な画面が現れた。

桐谷社長「このゲームの基本的な動作は全てタッチパネル形式、従来のゲームには無かったメモリアルスクリーン機能、さらに粋になる機能と言えばやはり、リアルアクション機能と言えましょう。」

な、なんかすげー!!

桐谷社長「それではまず、メモリアルスクリーン機能についてご説明致します。この新たに搭載された機能本体はわが社の地下に厳重に保管されております。当然この場にはございません。この後行われる体験者50名の方にはこれを腕に付けてもらいます。」

そう言うと社長が取り出したのは真っ黒なリングだった。
すぐに俺や桐谷含む計50名にはそのリングが係員の人から手渡された。

桐谷社長「これはわが社にある高周波マイクロ波を受信、または送信することが可能でこれが無ければゲームをプレイする事が出来ません、このリングは日本全国どこにいても使用可能です。さて、話は戻りメモリアルスクリーン機能とは何か、それは現実世界のありとあらゆる情報を記憶、そしてそれを元にゲームを構成する機能の事です。例えば・・・」

そう言うと社長は腕にリングを付けた。
瞬く間に青いレーザーのようなものが社長から360度、まるで円を描くかのように放たれた。会場がざわつく。

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