濃密 恋絵巻
第1章 ~タイムスリップ…!?~
微かに開いている襖から朝日が漏れ、ゆりなはそれに気が付き目を覚ました。
「ん…もう朝…?」
まだ眠たそうに起き上がりながら月蔭を探すが、部屋の何処にも姿がなかった。
何処に行ったんだろう …
独り取り残された事に、不安そうな様子で部屋を出て行った。
外は長い木造の廊下が続き、直ぐ横を見ると高い塀と土しかない広い庭があった。
なにも無いけど庭だよ ね?
…わたし…ここで倒れ てたのかな…?
庭は廊下と同じ様にずっと続いていて、 塀の様に屋敷を囲んでいる感じだった。
年代を感じさせる造り だなぁ…
…タイムスリップって 本当にあるのかな…?
実際に戦してる所見た けど…まだ実感が湧か ない……
木造の屋敷を眺めながら考え込んでいると、ろくに食べていなかったせいかお腹が鳴り響いた。
はぁ…お腹空いた~…
そういえば、あの不味 い薬意外なにも食べて なかったっけ…
とりあえず台所に行っ てみよう…
しばらく長い廊下を進んで行くと、大きめの襖がありその向こうには居間らしき部屋があった。
…月蔭は…いないか…
何処か出掛けちゃった のかな?
…どうしよう…見た感 じ食べ物無さそうだし ……
「よしっ、食べ物探しに 行ってみよう!」
居間の奥に昔風の台所があり、地面に置いてあった学校指定靴を発見するなり駆け寄った。
確か…居間から外に出 られたはず…
ちょっと怖いけど…あ まり遠くに行かなけれ ば迷子にならないよね …?
制服は見当たらないし …しょうがないからこ のままで行っちゃおう っ
そそくさと靴を履いたゆりなは、昨日から着ていた男物の浴衣姿で敷地内を出て行ってしまった。