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濃密 恋絵巻

第2章 ~歪んだ想い~

 
 
 
 一か八か…かっ…
 
「待て…
 
 どうせ最後なら…お前 を気が済むまで抱きた い…」
 
 
 
 
 えっ…月蔭っ…!?
 
 
 
 
「だが…毒が回りすぎて 身体が言うことをきか ない…
 …はぁ…お前を抱ける くらい…毒を和らげて くれないか…?」
 
「…月蔭様…」
 
 あの身体に包み込まれ るように抱かれる…
 
 …そんな夢なんて叶わ ないと思ってた……
 
 
 
月蔭の均等のとれた美しい身体に包み込まれながら抱かれている自分を想像して、鼓動が早く脈打ち火照った身体は強くその欲望を欲した。
 
 
 
「…あ…わかったわ…
 さぁ…私の血を…」
 
 
 
甘い誘惑に負けた琴刃は、自身の手首に歯を立て その溢れ出た血を口に含むと月蔭に唇を寄せた。 
 
 
「…はぁ…お前の血が解 毒薬という事か…」
 
「ええ…
 これで少しは解毒され たはず……早く私を抱 いてっ…」
 
「ああ…」
 
 
 
少し顔色が良くなってきた月蔭は、上半身を起こして強引に琴刃の身体を押し倒した。
 
 
 
「月蔭様…」
 
「琴刃…今楽にしてやる …」
 
 
 
そう甘く囁くと、鋭く尖った指先を琴刃の胸に突き立てた。
 
肋骨が一瞬で砕け、激しく脈打っていた心臓を貫いた。
 
 
 
「っあ……つ…き…かげ …様……」
 
「琴刃…すまない…」
 
 
 
琴刃は口から大量の血を吐きながら、意識を失うように瞼を閉じた。
 
まるで眠っているかのようなその死に顔は穏やかで、目尻から一筋の涙が流れていた。
 
 
 
「…琴刃…長年苦しませ てすまなかった…
 
 お前が妖怪に魂を売っ ってしまった時に殺し ておけば…それ程まで 苦しまずに済んだのか もしれない…」
 
 
 
もう動かなくなった琴刃を見つめながら、月蔭はゆっくりと突き刺した指先を抜いた。
 
穴が開いた胸からは大量の血が流れ出し、あっという間に畳を赤く染めあげた。
 
 
 
 
 

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