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濃密 恋絵巻

第2章 ~歪んだ想い~

 
 
 
月蔭は、まだ完全に解毒されていない身体を無理矢理動かしてゆりなに近付いた。
 
 
 
「ゆりな…今…楽にして やる…」
 
 
 
力なく目の前に座り込むと、血に染まった唇で動けないゆりなに口づけた。
 
 
 
 うっ…これ…琴刃さん の血っ……
 
 
 
強制的に流し込まれる血に拒絶反応を起こしていたが、麻痺して素直に喉を通ってしまう事に戸惑った。
 
徐々に麻痺が解けていき、ゆりなは月蔭の胸板を押して唇を離した。
 
 
 
「…わたしはもう…大丈 夫…」
 
 うー…口の中がっ…… これ以上飲まされたら 吐いちゃうところだっ たっ……
 
 
 
「そうか…
 …無事で良かった…」 
 
 
月蔭は安心したようにそう言いながら、包み込むように華奢な身体を抱き締めた。
 
 
 
「あ…つ…月蔭の方は… 大丈夫なのっ…?」
 
「ああ…心配ない…」
 
「でも…まだ体が熱いよ っ…?」
 
「…ああ、これは……
 
 まあ、毒は中和されつ つあるから時期に元に 戻る…」
 
 
 
はぐらかすような態度の月蔭に、ゆりなは不満気に腕の中から離れた。
 
 
 
「ゆりな…?」
 
「…本当のこと言って… 」
 
「本当の事?」
 
「なんで…大丈夫じゃな いのに、大丈夫って言 うのっ?
 毒でずっと具合悪かっ たのにっ…
 
 わたしに気使わないで っ!」
 
 わたしのバカっ!
 心配かけないようにし てる月蔭の気持ちわか ってるのにっ…
 
 …でもっ…
 
 
 
 
今にも泣き出してしまいそうなゆりなを見て、月蔭は突然その華奢な身体を押し倒した。
 
 
 
 
 

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