「先生、食べちゃっても良い?」
第11章 教室
右手を伸ばし机に触れるといけないという気持ちよりも懐かしい様な暖かい気持ちになって、だんだん雪解けの様に涙が溢れ始める。
そんな自分が人から見れば生徒からフラれまだ未練がましく想っている痛い女だという事は分かるが、この手をはなす事も涙を止める事も出来ない。
そのまま雫を顎に向かって流しながら私が下唇を噛み締めると、教室のドアの方から声が聞こえてくる。
「葉月先生……? どうしたんですか?」
「山田さん……?」
それがキョウ君のクラスメイトである山田さんだと気づくと、咄嗟に机から手をはなし、掌で濡れた顔を拭いた。