「先生、食べちゃっても良い?」
第11章 教室
……泣いてる姿を見られただろうか。山田さん、変に思ってる……?
そう心配しながらも、此方に近づいてくる山田さんを不思議がりつつ見つめる。
山田さんはというと、私の前に立ち、その猫の様な大きな瞳を瞬きさせながら私の顔をまじまじと見た。
「もしかして、泣いてます? どうしたんですか?」
「いえ……何もないのよ。それより山田さんはどうしてまだ学校に残ってるの?」
「私は……人を待ってるんです」
私の質問に恥ずかしそうに俯き、照れた様なはにかんだ笑顔を見せる。
そんな山田さんを見て、一瞬日向先生の顔が私の頭の中には浮かんだ。