「先生、食べちゃっても良い?」
第11章 教室
真剣な顔をすぐ穏やかな笑顔に変えると、そんな私の気持ちも我を取り戻したが。
「山田がバイだとは知らなかったけどな。多分あいつが本当に好きなのは、お前なんじゃねーの?」
「そ、そんなわけないじゃないですか。山田さんはただ、曽根崎君から言われて、きっと私にあんな事を……」
そこまで言いかけると、じわりと目に涙が滲んできた。
……泣きたくないが、キョウ君の事を思い出すと辛くて、惨めな気持ちになってくる。山田さんが話していた事も気になるし。
乱交にセフレ……本当だろうか。信じたくないけど、日向先生も山田さんと同じ様な事を言っていた。
だから、……私はキョウ君から遊ばれていただけ。
もう忘れないと。キョウ君の事。
俯きはしていたが、泣いてる事を日向先生に気づかれた様だった。
「曽根崎が? ……おい、何泣いて……」
不思議そうに尋ねられると、私はシャツのボタンを閉じ、顔を上げた。