「先生、食べちゃっても良い?」
第12章 特別室 その参
まだ彼女だったらこの状況を責める事が出来るのに、私はもう彼女でもないただの数学教師。
……気持ちを気づかれない様、泣く事も出来ない。
そのまま私は二人から目をそらすと、ぎゅっと強く歯を噛み締め、無言でドアへと向き直った。
そして教室を出ようとした時、山田さんから話し掛けられると立ち止まる。
「せ、先生、待って! これはですね、キョウがしようって言うから! べべ別に、私から誘ったわけでは……!」
何故か慌てながら弁解を始める彼女に、少しだけ親しみがわく。