「先生、食べちゃっても良い?」
第12章 特別室 その参
その誰も寄せ付けようとしない様な低い声に、背筋がぞくっとする。
……一緒にしたいだなんて思うわけがないのに。彼の言う事には絶対従わないといけないという様な雰囲気が、静かな特別室を包んだ。
「ほら早く、おいで。俺とSEXしよう、先生」
「キョウ君……どうしたの? 何でそんな事を言うの? 前と、人が変わったみたい……」
「何が? 俺は昔からこうだよ? SEXが大好きで、ああ後、バカな女を騙すのも好き。先生みたいな人をね?」
ふふっと可愛らしく笑うと、キョウ君は細めた瞳で私を見る。
そしてペロッと舌舐めずりをすると、今度はキョウ君の目の前に立っている山田さんの方を見て言った。
「先生、しないなら良いよ? そこで俺達がするの見ててよ」
その言葉で、やっと自分がキョウ君から愛されていなかったのだと思い知った。
山田さんの胸に向かいキョウ君の両手が伸びた瞬間、身体が凍り付いたかの様に動かなくなると、堰を切った様に涙が溢れ出す。