「先生、食べちゃっても良い?」
第13章 キョウのマンション
その後すぐ耳元で聞こえてきた声は、私の腰を抱く両手と同じで優しく。
「ごめんね、先生。……裏切って悲しませて」
「……私だけじゃダメかな? 私じゃ足りない?」
拒否されると辛いが、私は勇気を出して尋ねた。
キョウ君が色んな子と関係を持つのは、きっと寂しくて愛に飢えているから。
そんな彼の心情に今まで気づかなかった事にも、私だけで足りると思って貰えなかった事にもショックだけど。
同情でも自分のプライドを守る為でもなく、心から癒してあげたいという感情が湧き上がった。
「先生……じゃあ俺とこの部屋で、一緒に暮らしてよ」
ニコリと目を細めるキョウ君から、まさかそう返事が返ってくるとは思いもしなかったけど。