「先生、食べちゃっても良い?」
第13章 キョウのマンション
そんな目で見ないで欲しい……と思ってしまうのは、その瞳に支配力があるからなのか、更に翻弄されてしまいそうになる自分が怖いからなのか分からないが。
私の心情に気づかず話すキョウ君の言葉を、今は黙って聞く事しか出来ない……。
「教師だから好きになるわけないでしょ。わざと授業中寝たふりまでしてたのに……」
「えっ? 寝たふり……?」
「先生って結構鈍感だよね。付き合うまで授業ちゃんと受けなかったのって、先生の気を引く為だから」
……えっ? ええっ!?
何か自信満々にあっさり言ってるけど……
「そうだったの……? キョウ君、もしかして、数学の成績がトップなのもそれが関係してる……?」
「そうだよ。俺元々数学だけは成績良いんだよね。でも先生と付き合いたかったから、わざと苦手なふりしてたんだ。おかげで特別授業って事で先生を特別室に呼び出して二人きりなれたし、バッチリ作戦成功って感じ?」
「作戦成功って……」
余裕な笑みを見せてくるキョウ君に対し、私はワナワナと口を震わせた。