「先生、食べちゃっても良い?」
第15章 キョウの部屋
この言葉……キョウ君は甘えたいのかもしれない。今まで寂しい思いをした分、その気持ちに答えて、私が癒してあげたい。……けど。
「キョウ君の事好きよ。……でも、もう体が動かないの……部屋に入ってからずっとしっぱなしだし……」
「ふぅーん。こんな俺でも良いって言ったのに、嘘つくんだ?」
「だ、だって、まさか、こんなにするとか思わないし……!」
「しょうがないでしょ。してないと……不安なんだから」
更に力強くなるキョウ君の両腕と、肌と肌で感じるお互いの熱い体温。
と同時に、キョウ君の呟く様な声が続けて部屋に響いた。
「先生から愛されてるのか、不安になる。この気持ち、どうにかしてよ、先生」
「っ……」
……どうにかしてと言われても、自分がどうしたら良いのか分からなくて。もどかしくて、苦しい……。
こんなに好きなのに、キョウ君には伝わっていないという事……?
キョウ君を不安にさせてしまうなんて、折角こうして同棲まで始めたのに……。私に出来る事なら、何でもしないと……。
「キョウ君は……私にどうして欲しい? 何でもするから、何でも言って?」
右手でキョウ君の腕をとくと、私は四つん這いの体制からキョウ君の方へ体を向かせ、キョウ君の体を包み込む様にギュッと抱きしめた。
「先生……じゃあ、証拠見せて。俺を好きだって証拠……」
すると耳元で聞こえてきた不安そうな言葉に、一瞬不思議になり体をはなそうとしたけど、抱きしめ返され身動きさえとれなくなる。
そんな状態でありながら、私は恐る恐る尋ねた。
「……証拠? って、さっきも言ってたよね……? 何したら良いの? キョウ君のいう事なら何でも聞く、私」