「先生、食べちゃっても良い?」
第16章 特別室 その四
キスって……本当に日向先生は何を考えているのか分からない。
私は日向先生からどうにか顔を背けようとする。
でも、日向先生の力には敵わなくて、
「何を言ってるんですか! 私は日向先生とキスする気ありません!」
「お前に無くても関係ない。このまま俺から抱かれるのと、辞職願提出した理由言うの、どっちが良い?」
「っ……最低です……日向先生」
強引に日向先生の方へ顔を向かせられながら、下唇を噛んだ。
冷酷に聞こえてくる日向先生の声が、私を更に追い詰める。
「何とでも言え。俺はこういう人間だ」
もうそろそろで他の教師達も出勤してくる筈……もしこの光景を見られたら……早く、給湯室から出ないと。
私は日向先生の顔から視線をそらしつつ、おずおずと口を開く。
「理由は……教師という仕事が自分に向いてないと思ったからです」
その後すぐに日向先生が顔から手を放すと、ホッと安心して息を吐いた。