「先生、食べちゃっても良い?」
第16章 特別室 その四
キョウ君の誤解を解いたのは、昼休み、特別室で会ってから。
日向先生との事を話すと、キョウ君は何事ない様にのんびりと笑った。
「何だ、そういう事か。急にあんなメッセージが送られてきたからビックリしちゃった」
「ごめんなさい、キョウ君……」
「あはは、謝らなくて良いよ。悪いのは日向先生でしょ?」
机の上に腰掛けたまま、椅子に座っている私を見つめてくるキョウ君は、何だかいつもよりも機嫌が良いように感じる。
そんなキョウ君にホッと安心して、私もさっきまでの緊張が嘘だったかの様にリラックスして微笑み返した。
「……で、何で給湯室に二人きりだったの?」
まさかキョウ君がいきなり豹変するなんて、予想もせずに。
机から降り、私の前に立って、微笑んだままジッと見つめてくるキョウ君を見上げながら、私はシドロモドロになる。
「えっ……それは、あの……」
「俺が日向先生の事嫌ってるって知ってるくせに……わざと? 俺を嫉妬させる為?」
「違うの……キョウ君、嫉妬させる為とか、わざとじゃなくて……」
「じゃあ何? 先生、日向先生の事が好きなの?」
すると突然真剣な表情をさせたかと思うと、キョウ君は一瞬私を冷たく見据えて、低い声で続けた。
「先生は俺のでしょ? 今すぐちゃんと証拠見せて」