バラードは君だけに
第4章 フラッシュバック
昼休み。
今日から私は屋上じゃなく、教室で食べる事になった。
サオリさんとレイナさんの三人で。
「これから美羽って呼ぶから、私達の事も名前で呼んでね」
「う、うん」
実際、この二人はとても美人でおしゃれだった。
特に目がいったのは、指先のネイルだ。サオリさんはピンクに、レイナさんはパープルに塗っていた。そのうえ指輪をはめているのだから、すごく大人っぽくて優雅に見える。
この高校では、女子のお化粧が許されているのだ。でも大半の子は、素顔にリップクリームを塗るぐらいで。
「そうだ」
?
するとサオリさんは携帯を操作し、私に見せた。
「これが私の彼氏。去年沖縄旅行へ行った時の」
「へぇ…っ」
そこには楽しそうなサオリさんと彼が、水着姿のツーショットで青い海をバックに映っていた。
「あたしの彼も見て。大学生なんだ」
レイナさんはクリスマスに撮ったみたいだ。大きなツリーの前で彼に肩を抱かれて幸せそうに笑っている。
「美羽も海斗と写真撮って絶対見せてね?」
「う、うん。わかった」
海斗はいつものように、下野君達と楽しそうにはしゃぎあっていた。