バラードは君だけに
第4章 フラッシュバック
放課後。
「美羽、帰ろうぜ」
「うん!」
海斗と一緒に帰るのもだいぶ慣れてきた。
バス停まで並んで歩いていると、ふと海斗が私に聞いてきた。
「今日はバイトの日だよな」
「そう」
「そんなに稼いで、何か買いたいものがあるとか?」
それは何気ない質問だったけど、私の心に影を落とした。
「…あのね、私早く家を出て一人で暮らしたいの。
だからお金を貯めてるんだ」
「ふーん…。両親と一緒じゃいやなのか?
ま、わかる気もするけどな。オレも一人で自由に暮らしてみたいって思う時があるからさ」
「…」
海斗
言わずに済むなら
ずっと黙っていたい。
あなたの笑顔を
失くしたくないから……。