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バラードは君だけに

第5章 会いたかった人


外に出ると、いつの間にか雨が降っていた。


傘はなかったけど、私は家に向かって歩き出した。

その時。

「待って」


ぐいっと私の腕を掴む誰か。
この声は、海斗じゃない。

「っ」

振り返ると

「濡れるから車に乗って」

と、お兄さんが私をやや強引にガレージに連れて行く。


「あ、あの!私なら大丈夫ですから。家、割と近いんで」

「いいから」

「えっ?」

彼は私の言葉も聞かず、

ピピッ

車の助手席に乗せた。

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