バラードは君だけに
第5章 会いたかった人
彼の運転する車は、やがてどこかの公園の脇に停まった。
「あのっ…なんですか?」
私が思わず口を開くと、彼はようやく私の方を向いた。
わ…
どきっとするほどの整った顔立ちをしている。
そして彼は言った。
「僕の事…覚えてないかな?」
「え、あなたを?」
私はさらに彼をじっと見つめた。
「大人になってキレイになったな、美羽ちゃん。あの時はまだ小学生だったけど」
!!!
私を美羽ちゃんと呼ぶ、この人は……。
急に私の胸がザワザワし始める。
「まさか……湊さん」
「うん」
「…っ」
海斗のお兄さんには、
確かにあの日の面影があった。